安心を得て、人生に取り組みたいあなたへ。

2019年7月1日施行の改正相続法について(2)

 

相続法の改正案が法律として成立したのは、平成31年(2018年)76日でした。この改正法の施行は、一部の規定を除き、令和元年(2019年)71日からです。

 

  今回は、201971日施行の改正法のうち、前回2019619日付けブログ(1~4)で触れなかった以下の規定(5~8)を概説します。

 5.権利承継の対抗要件(民法899条の2

 6.遺産の一部分割の明文化(民法907条)

 7.遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲(民法9062

 8.遺言執行者の権限の明確化民法1007条第2項、10121015

 

 

 5.権利承継の対抗要件について

   改正前は判例によって、相続させる旨の遺言により承継された財産については登記なくして第三者に対抗できると解されていました。

  しかし、改正法は、相続による権利の承継について取引の安全を重視して、対抗要件主義を適用することとしました。すなわち、相続させる旨の遺言等についても、法定相続分を超える部分については登記等の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないことになります。

  この規定は201971以後に開始した相続に適用され、2019630日以前の相続には適用されません。

 

 6.遺産の一部分割の明文化について

  改正前も実務において遺産分割の一部分割は行なわれていましたが、それを明確に定める規定はありませんでした。

 この点、改正法は、遺産の一部の分割をすることができること、家庭裁判所に一部の分割を請求することができること、他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合には一部分割の請求をすることができないことを規定しました。

  この規定は201971日以後に開始した相続に適用され、2019630日以前の相続には適用されません。

 

7.遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲について

  改正前は、遺産分割が行なわれる前に共同相続人の1人が共有持分を処分した場合、遺産分割においてその処分された財産をどのように扱うかの規定がありませんでした。

  改正法は、遺産分割前に処分された財産も、共同相続人全員の同意により、分割時に遺産として存在するとみなすことができる旨、規定しています。また、共同相続人全員の同意といっても、先に処分を行なった当該共同相続人の同意は必要ないとしています。この規定により、共同相続人間の公平がより図られることになります。

  この規定は201971日以後に開始した相続に適用され、2019630日以前の相続には適用されません。

 

8.遺言執行者の権限の明確化について

  改正法は、遺言執行がより円滑に行なわれ、相続に関する紛争を防止するために、以下のような遺言執行者に関する規定を置いています。

  (1)改正法は、遺言執行者が任務を開始するときに、相続人に対して遺言の内容を通知する義務があることを新たに規定しました(1007条第2項)。

さらに、遺言執行者は、遺言の内容を実現するための任務を負うことを明確にしました1012条)

  これらの規定は2019630日以前に開始した相続に関し、201971日以後に遺言執行者となる者にも適用されます。

  (2)遺言が特定の財産を特定の相続人に承継させる旨の内容である場合には、遺言執行者の具体的権限を規定しました(1014条)。

  この規定は2019630日以前にされた特定の財産に関する遺言に係る遺言執行者による執行には適用されません。

  (3)改正前は、遺言執行者はやむを得ない事由があるときでなければ任務を他の者に行なわせることができませんでした。

 改正法は、遺言執行者にやむを得ない事由がなくとも、遺言者の表示に反しない限りは、自己の責任で代理人を選任することができると規定しています。

  この規定は2019630日以前にされた遺言に係る遺言執行者の復任権には適用されません。

以上

 

 

リンク Link


行政書士会(単位会)によって組織されている日本行政書士会連合会のホームページ。