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2019年7月1日施行の改正相続法について

 

40年ぶりに大きく見直しされた相続法の改正案が法律として成立したのは、平成31年2018年)76日でした。この改正法の施行は、一部の規定を除き、令和元年(2019年)71日からです。

 

  そこで、今年の71日施行の改正法のうち、以下の規定を概説します。

1.夫婦間の居住用不動産の遺贈・贈与に関する優遇措置(民法903条第4項)

2.預貯金の払戻し制度の創設(民法909条の2

3.遺留分制度の見直し(民法1046条第1項)

4.特別の寄与の制度の創設(民法1050条)

  

1.夫婦間の居住用不動産の遺贈・贈与に関する優遇措置について

平成30年(2018年)713日に法務省民事局が公表した相続法の改正についての説明によれば、改正による優遇措置について、

『婚姻期間が20年以上である配偶者の一方が他方に対し,その居住の用に供する 建物又はその敷地(居住用不動産)を遺贈又は贈与した場合については,原則として, 計算上遺産の先渡し(特別受益)を受けたものとして取り扱わなくてよいこととする。』

と記載されています。 

 改正法では、長期間婚姻していた生存配偶者が受けた居住用不動産は、亡くなった配偶者の遺産には原則として含めないとしています。したがって、配偶者と他の相続人は居住用財産を除いた遺産を遺産分割することになります。この規定は配偶者亡き後の生存配偶者の生活を配慮したものです。

 なおこの規定は2019630日以前の遺贈又は贈与には適用されません。

 

 2.預貯金の払戻し制度の創設について 

 亡くなった人の預貯金は、相続人が複数名の場合、遺産分割が終了するまでは各相続人が単独で払戻しすることができません。しかし、故人の葬儀費用や家族の生活費等の支払のため、遺産分割を待っていては相続人が支払に窮する事態も生じえます。

 そこで、改正法は遺産分割前に、各相続人が単独預貯金の一定限度額

(預貯金額×法定相続分×1/3、ただし同一金融機関で上限額150万円)を窓口で払戻しできることとしました。

 この規定は2019630日以前に開始した相続についても201971日以後に預貯金債権が行使される場合に適用されます。

 

 3.遺留分制度の見直しについて 

 遺留分制度とは、亡くなった方の配偶者・直系卑属・直系尊属が一定額の相続財産を確保するための制度です。遺言で相続分がゼロまたは一定額に満たなかった配偶者等は、遺留分権利者として一定額までの相続財産を取り戻す権利が認められており、これが遺留分減殺請求権です。今までは遺留分減殺請求権が行使されると遺留分を侵害する遺贈・贈与の効力は直ちに無効となり、所有者と遺留分権利者との共有関係が生ずる結果がもたらされていました。

この遺留分減殺請求権に代えて、改正法は遺留分侵害額請求権という遺留分侵害額に相当する金銭を請求する権利を遺留分権利者に認めています。遺留分侵害額請求権は、行使により金銭債権を生じさせるのみで、当事者間に共有関係が発生することはありません。

 この規定は201971日以降に開始した相続に適用されます。

 

 4.特別の寄与の制度の創設について

 従来から、亡くなった人に対して療養看護等により財産の維持又は増加に特別の寄与をした相続人に相続財産からの分配を認める寄与分の制度があります。

 さらに改正法では、相続人ではないが、相続人の親族であって特別の寄与をしたと認められる者を特別寄与者と呼び、その者に特別寄与料請求権という金銭請求権を認めています。もしも特別寄与料の支払について相続人と特別寄与者の間で協議がまとまらないときは、特別寄与者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます。

 この規定は201971日以降に開始した相続に適用されます。

 

   これらの改正点は、日本の社会経済情勢の変化に対応し、高齢化社会における配偶者保護、遺産分割における紛争の柔軟な解決、相続人以外の利害関係人の実質的公平を実現していくために、法制化されました。

  社会の一員として、私たちひとりひとりが、日本の相続のルールの変更について認識し理解しておくことが肝要であると考えます。

 

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