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ウェッジ2017年3月号「ある成年後見人の手記(上)」を読んで

 

20004月に始まった成年後見制度は、超高齢社会の日本では必要性が高いと言われながらも、現在まであまり利用が進んでいない。より使い易い制度とするために、2016513日に「成年後見度の利用の促進に関する法律」が施行された。20172月現在、政府は成年後見制度利用促進基本計画を策定中である。

 

そんな折、20172月に発売された雑誌ウェッジ20173月号の特集『「成年後見」のススメ 認知症700万人時代に備えるを読み、親族後見人として被後見人を見送った方の記事:「ある成年後見人の手記(上)」を興味深く読んだ。というのも、日頃、専門職後見人による成年後見手続の解説や手記に触れることはあるものの、親族後見人の視点で成年後見制度を伝える手記は少ないため、後見人の悩みや奮闘努力が新鮮であったからだ。記事によると、成年被後見人は資力のある方だったのだが、申立て費用は手記筆者が負担している。申立て後、成年後見人の審判前の時点で老人保健施設費用を支払う必要に迫られて、手記筆者は借金までしている。また、手記筆者は成年後見人になってからも、被後見人のために行いうる手続の範囲について疑問が生じたときは、真っ向から裁判所に質問を投げかけている。成年被後見人のより望む生活を実現させたいとの強い思いが、手記筆者の悩みや奮闘努力を生み出している。

 手記は、現時点での成年後見制度の一側面を教えてくれていると感じた。